私は寿司が大好きである。ただ、これに関しては珍しく他人の影響をかなり受けている。知人にアホみたいに寿司が好きな奴がおり、そいつと一緒に寿司を食いに行くうちに「寿司」に対するこだわりや比重がかなり高くなった。
いわゆる一食2本~3枚の超高級店には数えるほどしか行ったことがないが、1万円弱の店には相当行っている。最近イタリアンに傾倒しているのと、その知人が現在海外にいるのでずいぶん頻度は下がったが、去年とかは年間40じゃきかないぐらいは行ったんじゃなかろうか・・・。
「食」って言うモノもかなり個人の趣向が強く出るので一概に「この店が良い!」みたいなのは評価しにくいが、一方で評価の方向性みたいなものはあると思う。自分が今まで食い歩いて培ってきた寿司屋選びのポイントをまとめておこうかと思う。
って言っても、完全な飛び込みとかの冒険はあんまりやってないんだけどね。だって、マズい貝とかウニとか食べたらなんかもう悲しくて泣きたくなるじゃぁないですか・・・。
さて、寿司屋を考えると、大きく3つ(+1)の要素に分類される。
①ネタの質
②シャリの質
③握りの腕
④居心地
寿司屋が他の料理屋と大きく異なる点として、基本的には「米の上にネタが乗っている」モノしか出てこないところがあげられると思う。だから、素材の中でもネタとシャリは確実に分けて考えた方が良い。また、これが寿司屋を見る時に楽しいところでもある。ちなみに、以下の分析?はカウンターのある程度上等な寿司屋に絞って書いている。個人的には回転寿司も好きだし、また違った楽しみ方があるが、回転寿司と寿司屋は金額的にも内容的にも「別物」と考えた方が良いと思う。
※書いてたら長くなったので、ネタ編、シャリ編、握り編で分けることにした。
【ネタについて - 鮮度】
寿司と言えばネタと言われるように、ネタは大変重要なウエイトを占める。実際、基本的な最低ラインの線引きはここで全てが決まってくる。一つはやはり鮮度。いかに良いネタをしっかりと仕入れているかが重要。もう一つがネタ自体の質。これは鮮度とは別で、どこ産のモノなのか、と言ったネタ自体のポテンシャル。実際、うまい産地の魚は多少鮮度が落ちてもうまかったりするし、まずい産地の魚はおろしたてでもまずい。
ただし、このおいしいネタの産地や時期はそれこそ年によって、月によって大きく変わってくるので、どこ産だから安心というのは基本的にはない。日本人は得てしてそう言うラベルに弱いが、食ってうまいモノがうまいというグルメの鉄則がここにある。
さて、上記のように産地なんてモノは重要な指針になる一方で曖昧なモノでもあるので、やはりその寿司屋自体が実際に食ってうまいネタを仕入れられるかどうか、と言うところが重要になってくる。
寿司屋がネタを仕入れるにあたっては、
①板前が自身で築地に仕入れに行く
②懇意の魚の卸屋があり、そこに任せて仕入れている
③あるいはその半々
というケースがある。多くは3つめだろう。
回転寿司などの量販の場合良くも悪くも大規模な仕入れ先が決まっており、よほどの大きな流れ意外ではネタの善し悪しで仕入れ先を変えたりはしない(と思われる)。日々の魚の状況で良い物を仕入れてくれる点は、カウンター寿司屋のメリットだ。(なんか独立系のSI企業の紹介文みたいだな・・・)
板前自身の目利きが良いにせよ、懇意の魚屋と良い関係を築けているにせよ、ネタに対する瞬発力は寿司屋を決める一つの
指標になる。仕入れがうまい寿司屋と出会えたら、1ヶ月に一回は行ってみると良いだろう。同じネタだったとしても、折々の表情を楽しむことができる。
【熟成について】
もう一つ、最初に上げた鮮度と少し逆説的になってしまうが、「熟成」がうまい店が実は重要である。多くの人は魚は新鮮な方がうまい、と思っている事だろうが、さにあらず。マグロなんかは良い店では買ってから2週間ぐらい熟成させてから出している。魚も行き着くところは肉と同じでアミノ酸なので、熟成がうまみを引き出す鍵となる。一方で腐敗も早いので、そのバランスが重要となってくる。
この熟成の王たるものがマグロ。私も寿司ネタと言えば結局やはりマグロが好きなのだが、まれにとんでもなくうまいマグロにあたることがあるからだ。あれだけでかい身の固まりの、バラバラに進む熟成の中で偶然のタイミングで出てくる赤身、中トロのうまさたるや、涙が出るほどである。解りやすく一辺倒な味と思われがちだが、そう言う面もひっくるめて考えると実は魚の中では一番味の多様さを持っている魚でもある。そして、マグロの熟成には寿司屋の腕がものすごく出る。
余談だが、私などはカツオは少し身に色がついてきてしまったぐらいの方がうまいと思う。無論、新鮮でポテンシャルの高いカツオが正しく寝かされた上で、だが。ただ、この辺は本当に難しいところで、熟成という言葉が浸透しており、また焼いてしまったら一様に茶色くなる肉とは異なり、魚は寝かせると色が悪くなる。そう言う認識のないお客さんにしては「色が悪い=鮮度が悪い」と思ってしまう。だから、寿司屋は本当はうまくても中々出しにくいと言う事もある。これは個人的な好みなので万人が少し寝かした方がうまいと思うかは知らないが、興味がある人は板前に話をしてみると良い。まぁ、不躾な話でもあるのでそう言うざっくばらんな話が出来る状況が出来てから、の方が良いと思うが。
貝類のように新鮮であればあるほどうまいモノや、寝かせた方がうまいモノなどネタには色々な特性がある。これらの特性を正しく理解しており、またそれらの回し方がうまいこと。これが重要。高級寿司店は、好みの方向性が合えばやはりうまい。(あれだけの金を払っているのだからうまくて当然と言われればそうだが・・・)と言うのも、良くも悪くも計画しやすいからと言うのがあると思う。ああいう店は1日にそう何回転もする事は無く、多くて2回転。そして基本的には予約。どのネタをいつ仕入れ、いつ使い・・・と言った計画がかなりキッチリと出来る。その辺が最高芸術とも言える寿司を出せるゆえんだろう。
【番外編 -旬-】
寿司には寿司の旬というモノがある。これもまた寿司マニアでないと中々解らないことかもしれないが、私が思うに、寿司の旬は「一般的な魚の旬の少し前」だと思う。世の中一般で言う魚の旬は、「最も脂がのっている時期」という解釈の元成り立っている。このため、いわゆる旬の時期に寿司として魚を食べると、味がくどすぎたり、一辺倒な味になってしまう。(魚の種類によっても違うので必ずしもこの限りではないが)焼いて食べれば脂が落ち、香ばしさとなってうまくなるが、刺身で食べるには脂がくどすぎるケースが多いのだ。
寿司で食べる場合は、いわゆる旬の少し前。これがポイント。旬後ではダメだ。魚に脂がのった時期=最も活性化している時期に向かっている良い状況が望ましい。こうすると、魚本来の風味と、脂のバランスを楽しめる。
サンマを例の取ってみると、時期にもよるが寿司屋では7月初旬から出回り始める。秋サンマとは言うが、サンマなんてまさしくダイレクトに旬だとくどすぎる。大トロ的な濃厚な脂と青魚の感じを楽しめるのでそれはそれで良いのだが、やはり旬の少し前の方がバランスが良い。
サンマが旬前の方が良いのには、もう一つ理由がある。それが身質。よく漁船でどばーっと魚を大量に流して運んでる映像を見ると思うが、旬のサンマはああいう扱いである。単価も安いし量もとれるのでそうなるわけだが、当然身質が柔らかくなってしまい、身も悪くなる。焼いてしまえば余り関係ないが、寿司では気になる。
ところが、旬前のサンマは単価が高い。旬の時期の扱いからすればお大尽様と言ったような丁寧な扱いを受ける。このため、身質が締まっており、寿司には最適となる。サンマごとき?の単価が高くなるので旬前に上質のサンマをあえて仕入れる寿司屋は珍しいのかもしれないが、それなりに質を歌っている寿司屋では食べることが出来ると思う。興味がある人は、是非7~8月頃に食べてみて頂きたい。
とまあこう書いたが、旬前、旬、旬後どれで食ってもうまい魚はうまいんだけどね 笑
私はアジが大好きなので、アジはいつでもあれば食べる。そうすると、「ああ、今は脂がないけど、でも青魚独特の風味が強いな」とか、「今は最高だ!とにかく最高だ!」とか、「ちょっと身が痩せてきてしまっているけど、それもまた一興」と言ったような、違いを楽しむという要素も出てくる。
寿司に魅了された人たちなら、是非そう言う楽しみ方をしてみて欲しい。なんだかんだ言って「生物ってスゲーなー」とか思ってしまう。ちょっと話が飛んでるけど 笑
さてさて。なんだかあっちゃこっちゃとりとめもなく長くなってしまったな・・・。ほんとは自分が一番寿司で重視しているのはシャリなので、ネタの話は余り書くつもりも無かったんだけど。ちょっと読みにくいかもしれないけど、ご愛敬と言うことで。
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2010年2月17日水曜日
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