スピーカー:Tannoy Mercury M2
アンプ:DENON PMA-2000
CDプレイヤー:DENON DCD-1650AZ
と言う構成を導入した高校生の頃、夜中音楽を聴くのにスピーカーって訳にもいかないのでヘッドホンを導入することにした。導入したのは
audio-technica ATH-A9X
という密閉型のヘッドホン。当時購入の動機は、なんかメタルのハウジングが格好良かったのと、昔から良かったオーディオテクニカの装着感に惚れて。これをDENONのPMAで聞くというスタイルだった。
音はまあいわゆるオーディオテクニカ的な、基本フラットでちょっと堅めの高域とそこそこタイトな低域、やや物足りないけど別に不足もない中域、そして重たいとは言え抜群の装着感!という、導入としてはかなり優れたヘッドホンだった。その後ヘッドホンは本当に色々試しているが、装着感に関しては未だに一番これが良かったかも。しかも、最近のオーディオテクニカより当時のオーディオテクニカのが良いんだよなぁ。微妙にアーチの部分の形状が変わってて、頭へのフィットが当時の方が良かった気がする。
実際ヘッドホンに関してはかなり長いことこれ一本だった。当時まだゼンハイザーとかも大々的には入ってきておらず、ULTRASONEなんてブランド自体あったのかも謎。まぁ、まだまだ市場としてはたいしたことない時代だった。
ただ唯一覚えているのが、相変わらず訳の分からないものを作るソニーが作っていたMDR-R10。今でこそ20万レベルのヘッドホンも存在するが、当時のヘッドホン業界では異例の24万とかいうとんでもない定価だった気がする。技術的にもバイオセルロースの振動板とか言う謎のモノを使っており、既にこちらも販売終了しているMDR-CD3000のプロトタイプというか超限定の上位機種というか、という感じで発売されていた。(下の写真がMDR-R10。右の写真はMDR-3000。これについてはまた長く書けるけど、やめておこう。ソニーの伝説の名器です)
このヘッドホン、とにかくバカみたいにでかく、重たいのであれで音楽聞いてたら首が太くなりそうな代物だった。ソニーのショールームで視聴したことがあるが、音の傾向は一時代を築いたMDR-CD3000をさらに上品にした感じで、確かに凄まじかった。しかし、あれだけでかいとうっかり引っかけたりした時にケーブルとか切れやすいだろうなぁ・・・。それで泣いた人も多いに違いない。あの引っかけコード断線はほんと涙が出るんだよなぁ。ヘッドホンの亡骸を抱えて「な、なんじゃこりゃぁーーー!」みたいな。
さて、話を戻して。
かなり長い間ATH-A9Xを使っていたが、大学に入り、バイト先の会社で音楽を聴く頃になって再びヘッドホン熱が再熱する。そこでチョイスしたのが
Sennheiser HD580
という開放型のヘッドホン。前述のATH-A9Xが密閉型だったので、少し涼しそうな開放型を選んでみた。ゼンハイザーというのはドイツのヘッドホンメーカーで、あまりにイケテナイデザインと裏腹の音質には驚かされるモノがある。このダサダサデザインシリーズは、最上位のHD650以外リニューアルされてしまったが、いつ見てもチープである。
しかし、もう10音弱かなりヘビーに使っているが、とりあえず一回コードが断線して変えた意外は無事。イヤーパッドはまあ消耗品なので2回ぐらい変えたけどね。
このヘッドホンは、ほんとに万能。やや中~低域重視の音作りだが、かといって高域も不足はなく、広がりもある。やや不満があると言えば解像度だが、開放型の構造上それはしょうがない。開放型ヘッドホンの一つの完成系といえると思う。ほんと、ゼンハイザーのヘッドホンは不思議なんだよなぁ。何でこんな安っぽいのにこんないい音が・・・。って。ユニットのサイズとかスペック、材質とかを売りにするオーディオテクニカとは逆にある商品・ブランドかもしれない。なんだかよく分からないけど、とにかく音は最高ですよ!みたいな。
解らない人のために補足しておくと、密閉型と開放型というのは、ハウジング(ドーム状のユニットを包み込んでいる部分)が密閉構造になっているか、空気の通り道があって解放構造になっているかと言う違い。せっかくだから一応簡単に特徴を記しておくと・・・
【密閉型】
密閉型は、当然ある程度密閉されるので外の音が聞こえにくい。これはヘッドホンでは実は結構重要で、良くも悪くも外の音が聞こえてしまう開放型はリスニング環境をかなり選ぶ。密閉型であれば、多少音がある状況でも集中して音楽を聴くことが出来る。また、音漏れもかなり少ない。
音の特徴としては、密閉されており、空気の逃げ道がないので全体的にこもったような音になる。ここは構造の特性が素直に音の差に出る所だが、開放感が無いと言える。一方で、密閉されているが故にかなり緻密に音を広う事が出来、また濃密な音を出してくれるので意外とテクノとかのソースと相性が良い。クラシックにはあまり向かないかな。なんか、狭い室内で室内楽じゃなくてオーケストラを聴かされているような・・・。個人的にはアストル・ピアソラのような小規模な編成の音楽に向いていると思う。ULTRASONEのEDITION9で聞くピアソラなんて、鳥肌モノですよ。
密閉型選びのポイントとしては、密閉型のヘッドホンはハウジングの材質が音にかなり影響を与えると言う所である。スピーカーと同じくハウジングの鳴りが重要な影響を及ぼすのだ。メタル系のハウジングだと硬く、木材系のハウジングだと少し暖かみのある響きになる。また、安っぽいプラスチックだとやはりそう言う音になる。フレームやハウジングがプラスチック素材だったとしても、粘りのある、密度の高いプラスチックをオススメする。ULTRASONEのPRO750なんてハウジングは安っぽいが、あのメーカーのプラスチックは叩いてみると解るが、なんか密度が高い。ハウジングをつめでコンコンと叩いてみると良いかもしれない。
とか書いてみたけど、聞いてみるのが一番か 笑
いや、そこはまた後日ちゃんと書くが、店での視聴ってのは意外と難しいところがあって、結構良い器材でナラされてることが多いし、視聴として相当な時間鳴らされているケースが殆どなので、視聴のヘッドホンは往々にしてかなりエージングが進み、まろやかになっている。それのみを基準に買うと、思いの外音が硬かったり尖ったりしてて、思った通りの音になるまでに時間がかかる可能性がある。そしてもう一つ、外食と家庭料理の関係みたいなモノがヘッドホン(スピーカーでもかな)にはありまして・・・。これも長くなるのでそのうち別のエントリーで書こう。
【開放型(オープンエア)】
こちらは、ハウジングが密閉されておらず、空気が通るようになっている。ある意味究極の開放型が、ソニーのMDR-F1かな。見れば解るとおり、かなりスカスカ。
このタイプの特徴は、空気が通るので開放感がある音になる。広がりが出ると言えばいいだろうか。ただ、その分外の音を拾ってしまい、音漏れも激しい。仕事しながらとかの時は、下手に密閉型をしてしまうと電話の音とかが聞こえなかったりするので、そう言う“ながら”の時は逆に大変重宝するのだが、集中して音楽を聴くには環境を選ぶ。
構造上ハウジングが音に与える影響が少ないので、割とゼンハイザーのように一見すると適当な作りのモノも多い。また、軽い。これはかなりのメリットになる。前述のMDR-F1なんて、軽くて軽くて。装着感も密閉型のように密閉するために側圧を強くする必要がないので、装着疲れとかはない。
このタイプのヘッドホンは、比較的質の良いアンプで、音量を大きめにして聞くと良い。当然音漏れしまくりなので注意が必要だが。
【密閉風】
これと中間的な位置づけ(と私は考えるようにしている)のが、密閉風ヘッドホン。いわゆるプロフェッショナル向けモニターと呼ばれるやつ。SonyのMDR-CD900STやMDR-7506みたいなのが有名ですね。これらのヘッドホンは、おそらく持ち運びのためハウジング容量が小さく、片出しコード、耳を覆いきらず、耳の上にのっけるタイプ。
個人的には、このタイプのヘッドホンの有用性がイマイチ解らない。(とか言いつつ、MDR-CD900STは2本持ってるんだけど)なんか、中途半端に耳に乗ってるだけだから耳も痛くなるし、たいして持ち運びに影響を与えるとは思えない程度のハウジングサイズダウンで音もあんま良くないし、プロ用とは名ばかりの安っぽい作りでこれまたやはり音質が良いとも思えない物が多い。ほんとにスタジオとかでプロがこれを使ってるシーンをよく見るけど、プロならもう少しモノにこだわれよと言いたくなってしまう。
まぁ、CD900STはユニットには多少お金がかかっており、確かにフラットでいい音ではあるんだけどね。おかげでユニットをメインで残しつつハウジングを改造したりケーブル変えたり色々遊ぶのに重宝してるけど。パーツもほぼ全てバラで売ってるし。

SENNHEISER HD25-SP
これはなんかもうバカみたいに無理矢理な音作りで、これはこれで面白い。よくぞあの小さいユニットであれだけ強烈な低音が出るもんだよ。これはかなり面白いんだけど、実際見ると構造に特徴がある。あー。この説明をし始めると長くなるなぁ・・・。やめた。いずれ 笑
簡単じゃなくなってしまった。余談部分が長くなってしまって読みにくいですね・・・。
そう言うわけでSennheiser HD580でヘッドホンの凄さに改めて気がつき、そちらの道へ邁進することとなる。同時に、イヤホンにもかなりこだわり始める。この先を続けて書き始めるとさらに倍ぐらいの量になるので、とりあえず中途半端だけどここまでで。
PS.アマゾンのアソシエイトを試してみてます。今回の話では流石に高いものばかりなので流石に誰も買わないだろうけど、参考までに 笑
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