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2010年4月17日土曜日

洋服のオーダー

ずいぶん更新が空いてしまった。
一度書き始めると猛烈に書くんだけど、間が空くと腰が重くなってしまうな。
とは言え適当な事とか近況はよりそう言うのが書きやすいツイッターが在るわけだから、ブログの方はそれなりに濃いモノにしたいと考えている。と自己弁護(笑


さて、先週末、今注文している革シャツの布によるサンプルが届いた。
実に良い仕上がりで、本縫いが楽しみである。
そこで、今回は洋服のオーダーについてちょっと書いてみようかと思う。とりあえず、皆さんになじみが深いと思われるスーツ・ジャケットのオーダー。自分が実際にオーダーした中で何となく思っていることをつらつらとまとめてみました。参考になるのかは解りませんが・・・。



【洋服のオーダーへの傾倒】
自分はボディビルをやっている事もあって、体つきが一般の人とは大きく異なる。当然吊しの服は伸縮する生地でない限りあまり着れない。どのぐらい脂肪がついてるかにもよるが、110-82-95とかそんな感じか。ウエストは意外に細いので、逆にそこが苦労する。


洋服で問題になってくるのが、シャツやスーツ、ジャケットの類。この手の遊びが一切無い衣類は、やはり「一番大きい所に合わせる」事になる。そうすると、胸~肩回り、背中で上半身がもの凄く引っ張られるので、既製服のかなり大きなサイズとなる。当然、袖や丈は長く、胴回りもぶかぶかである。
袖はまあ詰めれば良いのだが、丈や胴回りのいけてなさはどうにも気に入らない。
そう言った全体的に窮屈な感じもあって、長いことスーツは嫌いだった。(職場も制作がメインであまりそう言うものを着る必要がなかったので実際着ないでも済んでいる)

ただ、ある程度年も行くとそれなりの服装を求められる場や店にも行くようになり、3年ぐらい前にちょっとオーダーをしてみようかと思い立った。

ただ、オーダーモノはいかんせん高い。自分の場合パターンオーダーだとやはりなかなか無理もあるだろうが、出来れば型紙から起こしてサイジングはフルオーダーでいきたかった。
仕上げに関しては手縫いは格段に値段が変わってくるので、そこにこだわりは無かった。何より、手縫いのスーツを仕立てて着込むにはまだ早いとも思っていた。


【A Workroomとの出会い】
色々調べた結果たどり着いたのが代官山のA Workroom(ア・ワークルーム)というお店。
この店は、サイズ計測などフルオーダーしてくれるが、値段はスーツ一式で8万円ぐらいから作る事が可能で、コストパフォーマンス的に非常に魅力的である。
ちなみに、スーツ8万で安いのか?と言われそうだが、大手メーカーのパターンオーダーならぎりぎりあるが、フルオーダーモノは10万円切るケースは殆ど無い。ここ数年で事情も変わってきているから色々あるのだろうが、少なくとも当時はあまりなかった。

そして、もう一つ引かれたのがA Workroomのオーナー、岡田氏のセンス。クラシックなスーツももちろん作っているが、5ボタン、スカルをあしらった生地など、面白い「提案」をしている。

右へならえのユニフォーム的なスーツがいやだったので、早速ここでオーダーすることに決めた。



【オーダーの楽しみ】
最初に言っておくが、オーダーはもの凄く楽しい。しかし、そう思えるようになるのは2,3着仕立ててからかもしれない。とにかく、最初は何をどうして良いのか?なんか変な事言ってないか?とか細かいことが気になってしまい、意外と悩む。

実際、日本はそれでももの凄く甘いが、スーツにはきちんとした「ルール」がある。そして、それを解っていない人が多い。ルールを解っていてあえて崩した歌舞伎モノを気取るなら良いがし、そう言う人は見るべく人が見ると「あいつは解ってやってるな」とわかる。
その行為自体に好き嫌いはあるだろうけど、知らずにやってるよりは全然マシである。

その辺のルールを気にするならば、冠婚葬祭、特に葬は既製のフォーマルを使った方が無難。場としても個人の主張をするところでは無いし。

ただ、それ以外の場は日本は基本的にいい加減なので、後気をつけるとしたら格式高いパーティーぐらいか。それ以外は割と何を着ても大丈夫だと思う。


さて、話をオーダーに戻そう。意外とそう言う「ルールを解った上でやっているか?」というところが気になってしまうタイプなので、最初にオーダーした時は結構迷った。そこで、とりあえずは「無難」な1着を作ってみようという結論に至った。



【オーダーの流れ】
オーダーは、だいたい
①大まかな形の決定
②生地選び
③細かいディティールの決定
④採寸
⑤仮縫い(省略する場合もある)
⑥本縫い
といった感じか。それぞれどういうモノかというと・・・。

①大まかな形の決定

スーツ(ジャケットも含む)の見た目を左右する要素に、
Ⅰ.全体の形状
Ⅱ襟(下襟)の大きさと形状
Ⅲポケットの扱い
がある。後半2つはディティールと言ってしまっても良いかもしれないが、見た目に与える影響が大きいので分けた。なお、これらの分類は自分が勝手に作っているのであしからず。


まずそもそもダブル・シングル・2つボタン、3つボタンと言った大まかな構造。変則的に1つボタンとか5つボタンなんてのもある。これが一番大きな決定事項かもしれない。
最初の1着で作るなら、2ボタンあたりの何にでも使える形が良いと思う。


また、それと同じぐらいスーツの印象を決めるのが、上記の3つの形状と比率である。実際これは凄く重要。どういう事かというと・・・。

例えば、下襟(ラペルという)の幅がワイドだとどっしりとしたスーツに見えるし、逆にラペルの幅がタイトだと少しスタイリッシュに見える。
裾に関しては、裾~前の合わせが四角くキッチリしていればフォーマル・カッチリとした印象になるし、ラウンド形状で大きく切れ込んでいれば少しゆったりとした印象になる。

ポケットなども同様で、ポケットの形状やサイズ、位置によってイメージが変わってくる。

ある程度慣れてきたら自分の頭の中で組み立てて何となくイメージすることが出来るようになるが、最初は店舗にある大まかなサンプルを見せてもらい、そこを基準にすると良いと思う。
実際、A Workroomはその辺のバリエーション提案が凄く多く、面白い。

初めて注文する時は、「こういうシーンやコーディネートに使いたいんだけど、どういう形が良いか?」というイメージを伝えて、その形のサンプルを見せてもらうと良いだろう。

ちなみに、一応スーツにも流行みたいなモノがあるが、あんまり気にしない方が良い。だって、せっかくオーダーで作るんだし。そんな事より、自分の骨格から襟や全体のバランスを考えて、一番綺麗に収まるポイントを差がして、後はそこを基準に遊んでいく方が絶対に楽しい。


#大まかな形状を考える際のポイント#
大まかな形状を考える時は、必ず「比率」でイメージするようにしよう。例えば、気に入ったサンプルがあって、これと同じ仕立てで作りたい!と思ったとしよう。
そうした時に、私のように極端に肩幅が広いと、サンプルの段階では襟の大きさが中間~少し広めの襟だったのに、できあがってみると肩が広がってむしろ細身の襟になってしまう。肩幅が狭い人の場合、当然逆になる。全体のサイズが大きくなる場合は良いが、特殊な体型で極端に肩幅が広かったり狭かったり、なで肩だったりする人は注意が必要。

フルオーダーを受け付けてくれる店ならその辺も考えてくれる店が殆どだろうが、量販のパターンオーダーやそういう対応になれてない場合、言わないとサンプル通りの実寸になることもある。ただ、量販のパターンオーダーって襟の寸法とかまでやってくれるのか知らないが・・・。

の比率の話はその人の顔の大きさなどにも関連してくるので、自分が着た時のパーツとの全体のバランスを念頭に置いて考えると良い。


②生地選び
選ぶ生地によっては形状以上にイメージに影響を与えるのが生地である。スーツやジャケットの値段は実は生地で殆ど決まっており、どんな職人に頼んでも仕立て自体は10~30万程度で収まる。しかし、生地はそれこそ数万円のものから数百万円なんていうものまである。まぁ、数百万円するようなヴィンテージは初めてオーダーする人が行くような店には置いていないと思うが、まずはトータルの予算から生地の価格帯を決定して、その価格帯で生地を見せてもらうと良いだろう。

ただ、少し予算を足すだけで良い生地があったりもするので、最初は後学のために一通りの生地サンプルを見せてもらう事をお勧めする。
ちなみに、A Warkroomは結構変な生地が置いてある。それを見るのも楽しい。

スーツの生地による差は、まあ実際に見た方が早いので細かい話は省略。長くなるし。麻とか特殊な生地で作りたいという人は、もの凄くしわが入る生地なのでそれを理解しておくこと。

こんな生地もある!




③細かいディティールの決定
ボタンやボタンの数、ステッチの糸色、裏地等の細かいディティールを決定していく。ここは結構細かいこだわりを出してもスーツ全体の美観を損ねないので、色々遊べる。
A Workroomでは袖口のボタンを5つにしたり、またそのボタンホールの糸をグラデーションしたりと、結構こだわりのディティールをオプションでつけられる。また、スカル柄の裏地なんてのもあり、結構ぶっ飛んだもの作れる。


④採寸
採寸は基本的にはお店の人に任せる。ただ、これは①の大まかな形の決定とも紐付くが、「肩幅を気持ち広めに」とか「ウエストを少し絞る」とか、そう言う細かい要望があれば再度ここでつけていく。あとは、ジャケットではそこまでやらないが、シャツのオーダーなんかの場合、時計をする人は時計をする側の手首のサイズを少し大きめにとったりすることも出来る。
まあ、採寸は普段洋服選んでて何となく気になるところは伝えてしまった方が良い。

そうだ。話が少し前後するけど、オーダーする時は
・既存のサンプルの型紙をベースに、ポイントポイントでサイズを調整する
・型紙を一から起こしてもらう
という2種類がある。ほんとに吊しのサイズ直しでいける人もたまにいるのでそれならそれで良いと思うが、予算が許せば型紙起こした方が良いと思う。まあ、その辺はお店の人と相談して。

⑤仮縫い
これは、本番の生地の要所を簡単に縫ってつないだ状態で袖を通してみて、フィッティングする工程。この工程は省略することも出来る。実際、最近自分は仮縫いは省いている。
ただ、初めてオーダーする人は絶対入れること。オプションの料金が発生するが、そこはけちらず。やはり実際袖を通してみると全然変わってくる。
高級生地などを使う場合は、全然別の布地で一度仮の服を仕立てる場合もある。今頼んでる革シャツ(A Workroomではないけど)は、布でサンプルを仕立ててある。革がまたフィッティング難しいんですよねぇ。伸びるから・・・。伸びるから多少タイトでも良いんだけど、1・2年着込んである程度伸びた上でピシッとイメージ通りに仕上げるのが意外と難しい。


⑥本縫い
これはもう仕上げの工程。縫い上がりを待つのみ。A Workroomは2~3ヶ月ぐらいだったかなぁ。


とまあこんな感じの流れになる。
値段はほんと、生地次第だが、安い生地でも1着8万~ぐらいにはなってしまう。でも、注文している全体の流れとかも含めて、自分は注文服を作るのはかなり好きである。
ある程度自分のスタイルが確立されてきて、それをイメージしながら注文できるようになると凄く楽しい。特にシャツなんかだと値段的にも比較的手頃に楽しめるので、まずはそこから入ってみてはいかがだろうか。

A Workroomは年に2回オーダーシャツ半額フェアをやっているので、結構お勧め。自分もまとめて3,4着作っている。
綺麗に写真を撮るのが面倒なので、いつも写真は色々なところから拝借しているが、そのうち自分のモノをとってアップしますかね。


なんだか今回はお店紹介記事のようだが、まぁ、実際自分が使っていてお勧めなので。別になにかもらってるわけでは無いですよ 笑


【お店】
A Workroom(ア・ワークルーム) 代官山 : http://www.a-workroom.com/

かなり柔軟にサイジング出来る割に値段は安いと思う。オーナーの岡田氏のセンスも良いので、スーツでちょっと「遊んで」みたいと言う人は、注文する・しないに関わらず一度訪れてみて欲しい。
半期に一度の「オーダーシャツ半額フェア」は使えますよ!

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そういえばこんなものやっていたな。。。

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